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2024年11月24日
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「瞬殺」

2009年09月24日
ジャンル:剣豪アクション
DL:作者様HP
制作者:ほくとうのさる値引き中

絵になるACT


 紹介
白杉は、十数年前まで
農民として穏やかな生活を送っていたが…
同時に彼は自らの生きる意味を模索していた…

ひたすらに生涯を捧げ
独学で磨き上げたその剣が…
いつかその力が人の役に立つと信じて待っていた…

ただその瞬間の為だけに自分は生きてきたと―――
一瞬の輝きの為に剣を学び存在してきたと―――
―――それは人の死のように―――

   ―――はかなく―――


>以上ゲーム序盤より転載


 レビュー

死んで晒せ、
お前の罪とその生き様。

という訳で、中二病を常にいく犀川鋏です。皆さんコンニチハ。
今回は「かれっぢシリーズ」や「リベンジTHEゴースト」などツクールACTで知られるほくとうのさる値引き中様の作品です。


いやはやプレイしていて気持ちが良いゲームです。ACT要素については言う事無し。
まるで砂をかく様に容易く右から左へ果ては後ろまでズバズバ悪人を切っていく姿は爽快感抜群です。勧善懲悪モノ万歳! ていうぐらいに切り捨ててます。切れすぎて通りにある灯篭やお墓までひょうしに切っちゃう位。
また殺陣モード、抜刀術モードと攻撃方法の切り替えができまして、前者は四方近くにいる者を瞬時に切り殺すモード、後者は前方に刃を向けるモードとなっています。凶刃並ぶ場所へ飛び込んでいくのも良いですし、こちらに寄る者を倒して死体の山を成すのも良し、自分なりの剣士の姿を表現できるのが嬉しい所です。
ツクール製である事自体を否定しない限り素晴らしい出来だと思います。

そしてやはり物語。作者様の作品を語るにはコチラも外せません。
今作は短い作品です。それにストーリーといえるものは序盤と最後ぐらいにしかありません。
それでも、
主人公・白杉の人間ドラマを見た気分になるのは、紹介にあるプロローグの語りと優れたACT性があるからだと思います。
ただその瞬間の為だけに自分は生きてきたと―――
一瞬の輝きの為に剣を学び存在してきたと―――
この言葉を聞いてしまうと、雑魚敵に囲まれ殺される白杉、用心棒・紅熊にあと一歩及ばず散ってしまう白杉、生き残り何かを思う白杉……どの終わりを迎えようとも伝わってくる感情に語りつくせないものが存在します。


言葉少なく刀と血で語る剣術アクション。良作です。
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「瓶詰の地獄」

2009年09月22日
ジャンル:夢野久作の代表作
DL:vector
原作:夢野久作
制作者:KaTana




 紹介
著作権の切れた作家の短編小説をノベルゲーム化したもの。
原作は夢野久作。
海辺に流れ着いた三本の小瓶に込められた“地獄”とは?


>以上紹介文より転載


 レビュー

昨日のレビューにあわせて、今度は夢野久作の代表作「瓶詰の地獄」のサウンドノベル化作品です。
夢野久作というとやはり「ドグラ・マグラ」と「瓶詰地獄」が有名ですね。前者は"日本三大奇書"なんて云われ方をされていまして、読む前から既に不穏な瘴気を感じさせる書物なんですが、それに比べてコチラの作品は少し影が薄い印象。それでも「瓶詰地獄の方が好き」という方も多くいらっしゃるだけに、それ相応の"威力"を感じさせてくれる物語である事は間違いないと思います。


内容としては、
とある浜辺に三本の瓶が流れるつき、その中に納められた手紙から、ある少年少女の漂流記録が明かされる……というもの。

読み始めるとまず序盤の部分が少々読みにくいと感じるかもしれません。
だいたい瓶が回収され中身が検められるまでの経緯が書かれています。
とある村役場から海洋研究所へ「浜辺で変なビール瓶が三本見つかったよ。中に紙切れが入ってる。あんたの所、潮の流れとか詳しいでしょ? 封切らずにそちらに送るから」みたいな内容の書類が送られた訳です。

さて、
八十年も前の作品に対して今更私などが感想を述べても何も始まらないのですが、改めてこうやってゲームとしてプレイしますと、初めからこうだったんじゃないのかと思えるぐらいサウンドノベルとして嵌っているから不思議です。
一つ一つの瓶を開けていくという内容、一つ目の瓶で引き込まれ二つ目で心動かされ三つ目で力一杯はたかれるという構成、そのラストを味わいながらタイトル画面に戻される時の余韻なんて堪らないです。
そう、ラストですよ――あの≪第三の瓶の内容≫と示される画面で一拍置いてから手紙の内容に移りそのままフェードアウトする流れは、ずばり小説版より良かったです。こうあるべき、という物を見た気がしまして一時心躍りました。


最後に少し我侭を。
読み終わった後に各話のトップに飛べるオマケ機能みたいなものがあったらなと思いました、折角サウンドノベルなので。例の物語の矛盾点(wikiへ飛びます。ネタバレ注意)に想像を巡らせる時など、瓶の順番を変えて読めたら味わいも変わって面白かったと思います。

「死後の恋/悪魔祈祷書」

2009年09月21日
ジャンル:文藝復古
DL:vector
原作:夢野久作
制作者:香津宮裕介

禁書


 紹介
夢野久作の名作短編
『死後の恋』『悪魔祈祷書』をサウンドノベル化。

※本文中、今日から見れば不適切と思われる表現を含んでおりますが、原作者が生きていた当時の時代背景を考慮し、また本作のオリジナル性を重視した上で公開します。


>以上紹介文より転載


 レビュー

真説・万華鏡奇談」等の作品で知られる作者様の手によってサウンドノベル化された二つの夢野久作物語、「死後の恋」「悪魔祈祷書」です。
夢野久作の表現力豊かな文章に作者様のささやかな演出が添えられております。きっと、どなたが手にとっても楽しめる筈。肩がこるだけの文芸体験には終わらない作品です。


最近PSPに夢野久作や竹久夢二を入れて持ち歩いていたので、良い機会と思い原作とサウンドノベル版を比較しながら読んでみました。
結局率直な私の感想を申しますと、ゲーム版の方が断然面白かったです。
「悪魔祈祷書」は雨音と静かなBGMが混ざり合って初めから良い雰囲気が出ていましたし、「死後の恋」の山場の場景は……こういう言い方は何ですが、非常に美しさが増しておりました。
何より読みやすく、入り込みやすい所が良いですね。こういうサウンドノベル化作品やニコニコの朗読動画とかNHKの古典特集番組など、どんどん増えていって欲しいです。私は古い小説や映画を見ると大概眠くなってしまう性質なので……。


勿論、物語重視の方にオススメ。
読んだ後「夢野久作すげー」と叫べる作品です。

「OCCULT PUNK!」

2009年09月17日
ジャンル:SF+オカルト
DL:vector
制作者:雨夜
補完:作者様HPに解説ファイル在り




 紹介
ネオンが泳ぐ東京夜景。睥睨するは摩天楼。
高層建築の最上階で、上等なスーツに身を包んだふたりの男が言葉を交わしている。

「ときに社長、天使をご存知でしょうか」
「処女懐妊で生まれる両性具有の赤子、だったな。それがどうした?」
「なんでも、大変に美味なのだとか」

――魔術と電脳が彩る夜景。
眠らない街を行き過ぎて、天使を食しに赴く男がふたり。その後を追う男がひとり。


>以上紹介文より転載


 レビュー

オカルトパンク!

という事で、
未来的な雰囲気に魔術やら神話的な物やら、色々と混ぜこんだトリッキーな作品です。
そんな内容と併せてシンプルな演出、これが光り、非常にスタイリッシュな物語に仕上がっています。


内容としては、
マンガに近いぐらいのスピーディーな描き方で進むサウンドノベル。
普通の、特に市販のサウンドノベルと見比べるとゴッソリ文章が削られているような印象を受けると思います。情景や登場人物の説明による物語の肉付けよりも、テンポをとった作品なんでしょうか。ちょうど連載漫画の第一話と近い様子ですね。
短編、そしてテンポ重視という事で多くは語られません。
肩に力を入れすぎず、気楽にプレイした方がいい作品だと思います。


演出としては二点。
けして目を見張るような凝った演出というものは含まれていません。
それでもプレイ開始三秒でちょっとワクワクしてしまいました。効果音とBGMと細かな演出の合わせ技で、随分と見え方も違ってくるものなんですね。

そして、用語解説。
」のTIPシステムみたいに、固有名詞に色違いのものがありましてクリックすると用語解説が読めるようになっています。短編ながらその数も豊富。私はこういうゴテゴテ独自設定をもりこんだ作品が好きなので、かなり楽しめました。THE 創作物という感じがして、良いと思います。
ただ、「本文中で用語解説することによるスピード感の喪失を解消する」為に作られたシステムが逆にテンポを悪くしているような……。
こういうシステムは短編には合わない気がします。特に文量が少ないテンポ重視の作品には。解説される語句と語句の間が狭く、いちいち解説ばかり読まされている感じでした。


と、少々喉に突っ掛かるものがある作品ではありますが、全体としてはよく纏まった短編作品です。
SFの雰囲気とオカルトの雰囲気が混ざり合って、また独特な色合いをだしています。
どちらかが苦手な方にも是非是非オススメしたい作品です。

「ラスティ混沌旅社から」

2009年09月14日
ジャンル:3Dアドベンチャー
DL:作者様HP
制作者:kahara
攻略:一番下に記載




 紹介
ある旅行会社の招待で南の島へ……
の、筈なのに何故か今貴方は荒れ果てた山奥で迷子になっている。

別世界ひとりぼっち観光旅行(?)アドベンチャー。



 レビュー

MYSTちっくなアドベンチャーゲーム。
探索してよし、眺めてよし、迷ってよし。
美しい風景と小物がひかる作品です。


いやー、かなり凝った作品なのではないでしょうか。
当たり前ですけど、行く所見る所みんな3DCGが用意されていまして見てるだけで面白いです。3DCGは脱出ゲームなんかでよく見かけますけど、今作の場合、別世界の風景を写した物が多いので楽しさが違いますね。特に市場の中で、食べ物を見ているときが一番楽しい! 調理音なんかも加わり実に美味しそうでした。(ガツガツ食べ歩くイベントが欲しかったかな……)。
CGの他にも、先ほど書きましたが効果音やBGMの使い方が上手くて良かったと思います。ストーリー上なぜか主人公は始終一人ぼっちなんですが、それでも人ごみの声(?)や場所にあった環境音が流れていて臨場感は保たれていました。気分は一人ぼっち観光旅行。
旅行は好きだけど人ごみが苦手な人にオススメなのかもしれません。私もそんな一人です。


さてさて、
今作は作者様の前作「gajua--ガジュア--」と少し繋がりがある作品です。舞台が同じであり、時系列でいうと過去にあたる話でしょうか。
前作をやっていないと、プレイ中色々と混乱する事があるかもしれません。唐突に出てくる人名や地名など固有名詞が辛いところ。

ただ……、前作も前作でプレイヤーを混乱させる要素がないとはいえません。作者様の作風っぽくて、内容にほんのり霞がかかっているのがデフォなんです(それがまた魅力的)。
二作を見比べると、今作の方がMYST的という点ちょっとキャッチー。その分私はコチラからプレイした方がいいかなと思います。
今作が楽しめたら、是非も前作もプレイしてみてください。気持ちがスカッとする女性視点の恋愛ゲーです。


一応攻略っぽい物を書きました。つづきからどうぞ。
勿論ネタバレですので、注意してください。
つづきはこちら "「ラスティ混沌旅社から」"