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2024年03月29日
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「THE VARIANT」

2010年02月06日
ジャンル:リドルストーリー
DL:vector
製作者:礼門屋




 紹介
中庭で見つけたその恋文はいったい誰が書いたのか・・・
読めば読むほど謎が深まるリドルストーリー・ノベルゲーム


>以上紹介文より転載


 レビュー

一度EDを迎えてみると、確かにリドルストーリー然とした作品。しかし、これでは面白みにかけます。
二度EDを迎えてみると、「おや?」という感じ。作品の意図が読めてきます。
三度EDを迎えてみると……なるほどなるほど、予想通りだがこれはなかなか面白い。
そこから更に読み直したくなるから不思議です。
読めば読むほど判らなくなる感触、これは堪りません。
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「Black taker -Vanishing Twins-」

2009年10月23日
ジャンル:ミステリー・推理系アドベンチャーゲーム
DL:vector
制作:Vivid colors
注意:BL要素/流血要素




 紹介
裏の便利屋『Black taker』に来る依頼は変わったモノばかり。
今日も今日とて、不思議な悩みを抱えた依頼人が参りました。
依頼を見事に解決できるかは、貴方の力量次第です。

序章の依頼人は自称二重人格の青年。
依頼内容は『主人格でない方を消して欲しい』なのだが、肝心な事は何も話してくれない。
少ない情報の中での推理。
一つでも間違えると悲惨な結末が待っています。


>以上紹介文より転載


 レビュー

――貴方は自分の知識以上の事を信じられますか?


便利屋実務担当の視点から美しき二重人格者の謎を解いていく異色ミステリーADVです。
Ash~階段~」の作者様の作品。

若干世界観にファンタジーとBLっぽさ混じっているので、人によっては肩すかしをくらうかもしれません。でも、謎めいた雰囲気が面白かったのでジャンルは現代ファンタシーではなくミステリーにしました。


"二重人格の主人格を推理する"
という点から既に興味深かったのですが、『ジキル』と『ハイド』という二人の人格の関係性が何ともいえない感じでして、単なる情報から計算と推測を重ねる推理ゲーには終わっていません。いや、本当になんて言えばいいのか……二人の思いの交錯は実に美しくて清くて。こういうのはBLの専売特許だと考えてる私はBL信者過ぎるでしょうか……。
多くの人は読んでる内にピンとくるでしょう。演出が控えめな分感動するという所まではいかないかもしれませんが、文章から受ける切なさは結構なものです。運命って奴は全く……

推理の方は選択肢を選んでいくタイプです。
ジキルとハイドの言葉を覚えていればそれほど難しくはありません。でも、少し嫌らしい作りです。バッドエンドは後味の悪いものが多いですが、一通り見るのをオススメします(流血描写が苦手な人は注意)。

「阻止 ~橘康平の場合~」

2009年10月20日
ジャンル:三分ミステリー
DL:vector
制作者:nope




 紹介
夢で見た殺人事件が現実で発生する 主人公は殺人を阻止できるか

>以上紹介文より転載


 レビュー

帰省 ~川原純一の場合~」の作者様の次作です。
タイトルが似ていますが恐らくシリーズ的な繋がりはなく、ジャンルも全く異ったものです。
それでも、あっさりとした仕上がりの方は共通してます。

内容は、短い作品なので説明カット。
でも、スッカリ騙されてしました……と、だけ。良い感じに構成されています。
前作のレビューでも言いましたが、
短い時間で楽しませてくれたり驚かしてくれたりするのが短編の良さです。
けして、短さというのはマイナス点ではないのです。

「瓶詰の地獄」

2009年09月22日
ジャンル:夢野久作の代表作
DL:vector
原作:夢野久作
制作者:KaTana




 紹介
著作権の切れた作家の短編小説をノベルゲーム化したもの。
原作は夢野久作。
海辺に流れ着いた三本の小瓶に込められた“地獄”とは?


>以上紹介文より転載


 レビュー

昨日のレビューにあわせて、今度は夢野久作の代表作「瓶詰の地獄」のサウンドノベル化作品です。
夢野久作というとやはり「ドグラ・マグラ」と「瓶詰地獄」が有名ですね。前者は"日本三大奇書"なんて云われ方をされていまして、読む前から既に不穏な瘴気を感じさせる書物なんですが、それに比べてコチラの作品は少し影が薄い印象。それでも「瓶詰地獄の方が好き」という方も多くいらっしゃるだけに、それ相応の"威力"を感じさせてくれる物語である事は間違いないと思います。


内容としては、
とある浜辺に三本の瓶が流れるつき、その中に納められた手紙から、ある少年少女の漂流記録が明かされる……というもの。

読み始めるとまず序盤の部分が少々読みにくいと感じるかもしれません。
だいたい瓶が回収され中身が検められるまでの経緯が書かれています。
とある村役場から海洋研究所へ「浜辺で変なビール瓶が三本見つかったよ。中に紙切れが入ってる。あんたの所、潮の流れとか詳しいでしょ? 封切らずにそちらに送るから」みたいな内容の書類が送られた訳です。

さて、
八十年も前の作品に対して今更私などが感想を述べても何も始まらないのですが、改めてこうやってゲームとしてプレイしますと、初めからこうだったんじゃないのかと思えるぐらいサウンドノベルとして嵌っているから不思議です。
一つ一つの瓶を開けていくという内容、一つ目の瓶で引き込まれ二つ目で心動かされ三つ目で力一杯はたかれるという構成、そのラストを味わいながらタイトル画面に戻される時の余韻なんて堪らないです。
そう、ラストですよ――あの≪第三の瓶の内容≫と示される画面で一拍置いてから手紙の内容に移りそのままフェードアウトする流れは、ずばり小説版より良かったです。こうあるべき、という物を見た気がしまして一時心躍りました。


最後に少し我侭を。
読み終わった後に各話のトップに飛べるオマケ機能みたいなものがあったらなと思いました、折角サウンドノベルなので。例の物語の矛盾点(wikiへ飛びます。ネタバレ注意)に想像を巡らせる時など、瓶の順番を変えて読めたら味わいも変わって面白かったと思います。

「深淵病棟」

2009年09月11日
ジャンル:レトロサイコ
DL:vector
制作者:dydy
攻略:作者様HP




 紹介
目を覚ますと、僕は鉄格子の病室にいた。
昭和初期の精神病院で繰り広げられる、狂気と正気の錯綜。


>以上紹介文より転載


 レビュー

「鬼ヶ島」「犬神」など有名な作品で知られる「ワードワード」dydy様の作品です。
シンプルでスッキリした作りは以前同様ですが、今作には古い映画フィルムを思わせるような演出が加えられています。映像に黒い線や点々が混ざるあれです。
レトロな雰囲気をだすためか、精神病院という舞台の歪さをだすためか、はたまた人物のひび割れた自我を表しているのか。
はたしてそれが何を見せているのか、というのは最後まで読んでみると解るのかもしれません――
たいそう興味深い作品です。


適当な煽りをいれてみましたが、面白い物語です。
精神病棟の雰囲気は言わずもがな、主人公の特殊性、ストーリーの無残な流れ、時代の香り……どれもただ示されるだけに終わらずしっかりと内実まで描かれている所が素晴らしいです。変態や変態行為が好きという事はないけど、妄想と自慰的な思考が絡み合う主人公の挙動や葛藤には、思わず「うぐぐ……」と唸らされてしまうものがありました。
何となく共感できる部分があるだけに……辛い物語です。


普通のフリゲとはやはりどこか違うのが「ワードワード」の作品。
アニメや漫画が教えてくれる「面白い」とは何か違います。
正直私にも何が楽しくてプレイするのかはよく分かりません(「ワードワード」作品に限らずよくある事です)。そういう不明慮なものを確実にするためにレビューを始めましたが、実際どうでしょう……こじつけや見当外ればかりな気がします(例として「フランカ」など)。
結局は後学のためという意識があるので投げ出す事はありませんが、かなり辛い所です。

さて、
そこで、先達に学び、夢野久作先生の言葉を仰ぎたいと思います。

……こうした私の気持を百パーセントに満足させてくれるのはポオとルベルである。絞め殺した友人の心臓に耳を当てて鼓動音が消えてなくなってから床下に埋めておくと、毎晩寝がけにウトウトしかけた時にその耳の底にコビり付いている友人の心臓の鼓動音がハッキリと聞えて来るので、毎日毎夜睡ることが出来ない。とうとう発狂して床板をめくり初めた……という話なぞトテモたまらない。何かそこいらのものをタタキ付けたい気持になる。
 私はポオとルベルの恐怖、戦慄の美を心の底から讃嘆したい。日本では江戸川乱歩さん、城昌幸さんのに、その直系の流れを見る。水谷準、角田喜久雄、葛山二郎さんにも、そうした恐怖美、戦慄詩が歌われている。それが理屈なしに私を感激させ驚嘆させる。こうした感激と驚嘆のために私は生甲斐を感じているのではあるまいか。……

>以上「私の好きな読みもの」から転載

他人の言葉を借りておいて偉そうに言うのもなんですが、私も「犬神」の数々のシーンからうけた強烈なイメージ、トテモたまらないという感想です。
今作で言うと、隣室から死んだ筈の女性が語りかけてくるシーン――現実と妄想の境がグラグラ揺れ始め、かなり狂おしく、いっそのこと脳中枢を切断して自分の灯りをけしていまいたい、考えるのを止めてしまいたくなる……そんなイメージ。
それらを得られる事に喜びを感じるようです。激情=即快楽。

どうやら人間には平常や平穏だけでなく怒る事や叫ぶ事も必要らしいです。→→記事リンク
つまり、私が「ワードワード」作品を楽しむのは生存本能なんでしょうか?

夢野先生も仰ってます――
中世以前は到る処戦争ばかりで恐怖と戦慄の時代であった。だからその時代の芸術作品には平和と幸福の讃美に類するものが多かった。
これに反して現代は幸福と安定の時代である。だからその芸術作品に恐怖と戦慄が求められるのは当然である


そして続きます――
――といったような理屈を並べてみても、こうした私の恐怖美、戦慄詩の愛好癖は決して説明されない気がする。
誰か説明してくれませんか。

結局、先生も解らないのかい……

というオチです。
いやはや――
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