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2024年11月22日
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「そして彼女は語りだす」

2009年09月03日
ジャンル:語ることで、嘘も真実となるADV
DL:vector
制作者:茅野真奈
注意:12歳以上推奨

夕顔の存在だけは嘘ではないと思う


 紹介
彼女が語るのは、若き日の出来事と「あの子」のこと。
真実を知る者は彼女一人。けれど、彼女が真実を語るとは限らない。

それでも、何も知らなければ語られた過去こそが真実です。


>以上紹介文より転載


 レビュー

紹介を見てもらうと判る通り、
プレイする前から「語られる物語が真実とは限らない」事を明かしてしまっている面白い作品です。


ストーリーは主人公・咲夜がある人物について詳しく話を聞くべく老婆の元を訪ねる所から始まります。そこで彼が聞かされるのは今では遠い昔となってしまった老婆の若き日の出来事……悲しい悲劇の物語です。詳しく話しますと、「ある少女」の狂気的な愛が引き起こしてしまった殺人の話です。

とまぁ、普通の作品ならここまで話すとネタバレになってしまうのですが、恐らくそうはならないのがこの作品の特徴。理由は上記の通り。ここまでの話、嘘か真か――彼女(老婆)が真実を語っているとは限らない、という訳です。

この「真実を語るとは限らない」という要素が物語を非常にややこしいものにしています。特に初回プレイの面白さは格別ですね。もろに疑心暗鬼でした。短い作品ながら、どんどん想像が膨らんでしまいます。狙ってか狙わずか私は作者様の術にあてられてしまったようです。
そして、幾つかのEDを迎えるにつれ想像の中の物語が落ち着いていく、そんな中、ED4からED5にかけてのどんでん返し。
……実に厄介な物語だと感じました。

物語、形式、共に優れた良作です。




さてさて、
ここから下は私の語り(妄想)。ネタバレなど注意してくださいね。

郷土民話集を読んでいた時にふと頭に浮かんだ事を申しますと、
この主人公は老婆を食べにきた鬼だったのではないでしょうか?

いやはや――
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「dolphins were monkeys」

2009年08月28日
ジャンル:推理ADV
DL:vector
制作者:水野真守様
攻略:スイリモノブログ




 紹介
アメリカ北西部にある都市、ドッグランズヒルで探偵行を営む《僕》は、
ある日ひとりの夫人から、
夫の失踪に絡む事件の調査の依頼を受ける。
調査を開始した僕は、やがて事件の裏に張り巡らされた陰謀の中へと足を踏み入れていく…。

80年代から90年代の古き良きアドベンチャーゲームをイメージして作りました。
雰囲気を楽しんでプレイしてください。


>以上紹介文より転載


 前書き

この作品については以前少し触れましたね。
頭が悪い私では解けなくて、ギブアップ宣言した作品です→→「休談_7話_下手の推理ゲー好き

あれから二週間。
なんとか自力で解く事ができました。
某掲示板の力を借りまして何とかクリアする事ができました。
感謝感謝。
ヒントをくれた方、本当にありがとうございました。


 レビュー

古き良き推理ADVゲーを思わせる雰囲気もさることながら、
そのシリーズ第一話という雰囲気にピッタリな内容です。
推理を楽しませてくれる推理ゲームっす。

……。
いやまぁ、ゆとりが「古き良き」語るなとか、お前推理で泣いてただろといった投石行為は無しの方向でお願いします。


さてさて、
内容としては探偵もの。
主人公の一人称が《僕》というと、和製ゲームの影響からかどうも私は"女性に頭があがらないヘタレで少し惚けた男"という印象をもってしまいますが、今作の主人公はなかなかの切れ者です。
調査中は鋭い観察眼とちょっとキザな語りで次々と事件の絡まった紐を解いてくれます。手腕は素晴らしく、彼が推理パートまで担当してくれればこの作品のプレイ時間はものの15分ほどで足りるでしょう。しかし、そうはならないのが泣き所です。

全然、駄目だ。
事件の真相には程遠い。
僕の脳味噌を錆び付かせないでくれよ。

とにかく推理が難しいです。

推理パートに立ちはだかるは、15の質問。
プレイヤーの事件の理解力をはかるという事で、非情なまでに厭らしく作ってあります。以前私は推理パートを見て「選択肢がみんなソレっぽくて、ちっとも進まないです……」なんて弱音を吐きましたが、たぶんそれは作者様の狙い通り。推理にあやふやな箇所があれば、自然とこの作品は解決編への扉を閉ざします。

必要とされるのは、地道な捜査。
調査パートを何度も見直しながら登場人物の証言を細かくメモに残し適当なツールで整理する……、そこから見えてきたものを更に証言から検証し、最後には主人公の何気ない冗談にさえ意味を見出して隙間を埋めていく……。


ミステリーとしてどうか?みたいなものはミステリーマニアさん達に任せて、私はかなり頭を使わせてもらえる作品だと思います。
色々なワードが何を意味するのか? 例えば(プラスチック小片)が私にとって一番の難所でした。
そういうのを一つ一つ崩していく作業は苦しくも、のりこえてみれば楽しい何とやらですね。
当たり前のことですが、感動しました。推理ゲー最高。


最後にちょっと思ったのが、
この作品の世界では未解決の不審死が多そうですね。
現実ではどうなんだろ……?
ヒント "「dolphins were monkeys」"

「休談_7話_下手の推理ゲー好き」

2009年08月13日
関連:「dolphins were monkeys


5oo miles of plant hoppers


攻略サイト中毒者は辛いですね……。

「dolphins were monkeys」という古風な推理ADVを思わせる良作品。
内容から、雰囲気、推理システム(メモ必須)、難易度、そして長すぎない容量(20分ぐらい)。
みんな好みなのですが、

ラスト。推理パートの選択肢がみんなソレっぽくて、ちっとも進まないです……。
一歩一歩牛歩で検証していけば良いのですが、地味にADV嫌いな性格が邪魔してる状態です。

一応、フェイクも脱出して、誤字も色々な方向で脱出、時間軸の表を作成し終わった時にハッと思いついて、トムさんの自宅関連で推理してみたら、

「全然、駄目だ」

やっぱりか、クソ、いや判ってたんだ。ちょっとしたジョークだよ、ジョーク、許してくれ。

――と、いった工程を延々と繰り返しています。くやしいな。


頭の良い方にオススメです。そして、救いの手を……


>この作品についてレビューとヒントを書きました。→→「dolphins were monkeys

「空想作家」

2009年06月19日
ジャンル:心理探索サウンドノベル
DL:vector
制作者:ZERO様

私は迷わず少年


 紹介
吉里吉里で製作した怪奇風味のサウンドノベル作品。

なぜか、赤い部屋の赤い椅子に座らされていた。
どこからともなく聞こえてくる声。
声は質問を投げかけ、質問には何の意味があるのか?

語られる不可思議な話。
失われた記憶とは関係があるのか?

とにかくよく意味のわからない、不可思議な物語。
というかゲームの定義がわからない。
一応サウンドノベルだと思います。


>以上紹介文より転載


 レビュー
始まって見ると古いミステリーの世界に入り込んだような感覚です。

意味も知れずに突然隔離されてしまったプレイヤーの分身に、"彼ら"はこれまた意味のしれない質問を淡々と投げかけていきます。鮮やかに映し出される画像と聞き心地の良いBGMの間、作業的にそれは進み、いずれ終わります。すると今度は休息のためにと不思議な小話を聞かされる。さて、また質問が始まり……
いつか全ては終わり、彼らとプレイヤーの間に決着がつけられます。そこで貴方の眼に映る光景は――

と、いった作品です。
作業的な空気が嫌いな方にはオススメできません。
あと様々なEDに分岐するのですが、そのコンプリートを目指すというゲームでも恐らくありません。
少々と言わず、かなり異質な作品です。
ある意味ADVとして遊ぶのではなく、何か占いツールの一種として考えた方が楽しめるかもしれませんね。
しかし、作者の挑戦的な試みが実に素晴らしく形をなした作品だと私は思います。

そして、この作品は「空想シリーズ」として次の作品に繋がります。
空想怪奇」というのですが、実に鮮やかに変化・進化しています。
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