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2024年03月29日
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「MARTHA」

2010年01月06日
ジャンル:珈琲ノベル
DL:vector
制作者:湯薙ならず様




 紹介
そもそもコーヒーなんざ、苦くて黒くて濁ってて、ぶっちゃけ泥水よか見た目が悪い。こんなもの飲むなんか、正直人間って変わってるよね。でもね、天才はいつだって(以下略)
そこで、オレはゲームという表現媒体で、何故人間がこんなものを飲みたがるのか、何故我々はこんなものを欲するようになったのか、コーヒーの闇の中に広がる世界には、どんな美しいものが潜んでいるのかを表現することにした。(そこの君、「頭痛い」って言うな。)

それがこの「MARTHA」。


>以上紹介文より転載


 レビュー

コーヒーを題材にしたちょっとしたショートストーリーです。
ノリは軽いですが↑上の紹介文を見た感じ、どちらかというと娯楽作品というより表現作品なのかもしれませんね。もともとは三分ゲーコンテストに出されていた作品なので5分も掛からず終わります。コーヒー片手にゆったり楽しんでください。

内容としては、
不自由なく気楽な毎日をおくっていた女性が突然トラブルに巻き込まれてしまい、自失状態で雨の街を歩いていた……そんな時に出会ったのが不思議な男性と見知らぬカフェ、そして暖かいコーヒーでしたとさ――というもの。

"物語"として考えるともっとヤマ・オチ色々と欲しくなる所ですけど、珈琲好きな方が撮ったショートフィルム作品みたいなものと思えば良作なのではないかと思います。珈琲の魅力、その黒色の奥には果たして何があるのでしょう……プレイした後、思い出など交えながら考えてみると面白いかもしれません。

とまぁ語っておいて、実は私珈琲が苦手で飲めない類の人間なんです。砂糖ミルクを入れようが抜こうがとても苦くて飲めません。でも、こうやって珈琲好きな方が自分の大好きな気持ちを形にしているのを見ると改めて珈琲とは素晴らしい物なのだと気付かされます。
プレイした後の珈琲はやっぱり苦かったですけど、これもまた美味しいと思えば……。

珈琲が好きな方も嫌いな方にもオススメな作品です。
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「W」

2010年01月01日
ジャンル:ブラックジョークノベル
DL:vector
制作者:ノラ




 紹介
同じ物が二つあること。それが酷く無駄に思えてならない。
そんな男の元に、同じ物が二つやってくる。アッと言う間に終わります。


>以上紹介文より転載


 レビュー

ジャンルはblack joke novel。すかさず終わる短短編です。

内容の方は一瞬で先が読めるものなんですが、作品は○○発覚と同時にぶつ切りで終了。最初は驚いて「なんだこれは?」と思ったのですが、ジャンルを見返して納得しました。まさしくブラックジョークノベルですねw

「non noir」

2009年12月31日
ジャンル:他者への共感がもたらす悲劇を綴ったサウンドノベル
DL:ふりーむ
制作者:AMY





 紹介
「焼け跡で、全裸で用を足す老婆。
 誰も彼女を咎めない。
 燃え盛る家の前で、ひたすらに歌いつづける男性。
 誰も彼を咎めない。
 全ての価値観が崩壊したとき、何もかもが有り得る。
 誰もが誰もを否定できない。
 そして、肯定すらも。

 あの確実だと思っていた世界が、もうない。
 堅牢な世界が打ち壊れてしまったのか?
 それとも、あれこそが虚構だったのだろうか?」


この作品に、胸を打つ感動はありません。
この作品に、心に染みる純愛はありません。
崩壊する第三世界の中で、主体性とは、他者との関係とは何かを問う作品です。


>以上紹介文より転載


 レビュー

non noir。

内容としては、
瓦礫から産まれた少年が瓦礫に戻るまでの物語。もとい、悲劇。もとい、  です。

読んでいると、来ます。相当な具合に……。それが涙なのか感動なのか覚醒なのかは人それぞれだと思います。私は疲労感が来ました。なにせ一人の男性の一生が書いてあるのですから。終わってみれば呆気ないですが(人の人生ですから)、プレイ中は拳闘の如く一進一退、エネルギッシュな時間を過ごさせて頂きました、振り返れば短編だった事が信じられない位です。一言一句でプレイメモの筆が走る走る。定石と意外性と終わらない悪夢に皮肉の影、これはサウンドノベルというよりも弧人演劇です。
ワードワードのdydy様の作品等が好きな方は是非とも――。


まだ何も語れていませんが、一端紹介程度に終わらせます。
ちゃんとしたレビューはいずれ公開されている作者様の作品全てをプレイし終わってからやろうと考えております。

「蛸」

2009年12月30日
ジャンル:帰省ノベル
DL:vector
制作者:関口葉月
攻略:作品同梱の「read me」一番下からどうぞ
補完:作者様HPにオマケ短編小説在り




 紹介
ああ、そうか、また夏が来たんだった。
電車の中で目覚めて、溜息をつく。夏ごとに訪れる母の故郷は遠い。
自分以外の乗客がいない車内で何かを思い、考えかけては意識的にそれを打ち消す。
何も考えたくなかった。喧嘩したばかりの友人達のことも、これから行く土地でのことも。
考える考えないに関わらず、憂鬱な気分に変わりなど無かったのだけれども。
――夏が、来てしまったんだ。


>以上紹介文より転載


 レビュー完全に感想(全文ネタバレ注意)

実に渋い作品です。
手元の辞書を開いてみると、この「渋い」という言葉には思ったよりも沢山の意味がある事が知れるのですが、それら全てを意味とって、しかしやはりこの作品は渋いのだと。私はそう思います。つまりそういう作品なのです。
あと、今作は一週プレイ時間30分程度ED総数8個の中編作品です。

今作についてはいきなり蛇足からいかせて貰います。意味判らないと思いますが、一応ネタバレ注意です。

「浮き草」エンディング、これ最高のエンディングです。
こんな隙の無いEDはそうそう在りません。勝手な言い方で申し訳ありませんが、私としては是非ともこのEDを皆さんに始めに迎えていただきたいです。上記攻略を参照してでも。

あの時間、
彼女(叔母)の話を聞いていて、憤りと共感が綯い交ぜにやってくる感じ……。
彼女だけでなく、登場人物それぞれに対して思考が空回りしてしまい感情の複雑さばかりが広がっていきました。本当にやるせない。こんなに上げた拳が下ろせない気持ちになったのは初めてです。
対して主人公の言葉にはこれ以上ない程の感情移入を捧げて見ていましたが、終わってみれば在るのは虚無感と「また、ここか」という既視感から来る悲しさのみ……。やりたいことをやって、護りたいもの(自我)を護って、結果がこれですか……。

最終的に今作から大いに感じたのは、プレイヤー私自身の精神的な幼さでした。
初めは主人公の性格に寒気を感じて「現実では関わりたくないなー」なんて考えてました。恐ろしく皮肉的です。遠くから傍観する感じで見ていた筈がだんだん周囲の空気に包み込まれていき、ラストには完全に憂鬱モード。なんでしょうこのどうしようもない現実感。ほんと、渋いっす今作は。

そしてそして、
今作にはもう一つ個別EDではないエンディングが御座います。
「かすがい」エンディング。
正直に申しますと、始めに「浮き草」ではなくこの「かすがい」を見ていたら絶対に私はこの作品を楽しめてはいません。断言できます。何故なら、私のようなガキにはこのEDは難易度高すぎだからです。

あんな場面であんな言葉、言える訳がないじゃないですか。

「浮き草」でも納得がいかない気持ちはありましたが、「かすがい」のあの一言はあまりにも綺麗過ぎて逆に納得がいかなかった筈だと思います。「はいはいグッドエンドグッドエンド、めでたしめでたし……shift+削除っと」という矮小な人間の姿が目に浮かびます。

辿ったEDの順番が、「浮き草」→佐原2つ→竜彦2つ→「かすがい」。
この順番だったからこそ、私は「かすがい」を受け入れる事ができました。人間的に少し成長したとでも言いましょうか……浮き草でガツンと殴られて、そこから佐原を知って、竜彦を知って……だからこそ此のEDに感情移入できたのだと思います。ほんとに、良いEDでした……。

↓語っても語りきれない部分があるので、プレイ中に書いていたメモを挙げます。
蛸プレイメモ末端



今作は作品として少々の遊びにくさがあります。それはよくある作風の問題とか硬派だからだとかではなく、扱っている題材・要素のアクが強いからです。だからこそ今作は面白いのですから、これは仕方ありません。

併せて、"乙女向けノベルゲーム"と冠してある事が作品の色を歪めてしまっているようにも思えました(特に竜彦)。乙女向けというより一般向け女性主人公ノベルという気がします。
単なる個々の感じようですかね……なんか愚痴みたいで、すいません。



さて、ここまで2つのEDの事しか話していませんが、もう十分です。とにかくどっぷり感情移入できるEDが2つあった事が嬉しかった、それだけです。細かい所、例えばBGMだとか演出だとかは一々挙げて言うこと無し。文章の上手さとか結果を見ればお判り頂けるものだと思います。
何よりも物語が素晴らしかったです。感謝感謝。

「ひこうき雲」

2009年11月23日
ジャンル:何気ない最後の一日
DL:vector
制作者:P177・ミツコ
注意:BL要素




 紹介
ひこうき雲を追いかけて、僕と彼は出会った 
その日から、僕たちは一緒にいる 
 
大きな窓のある部屋
海に近い街並み
それから、君と僕

それが日常に変わりそうなある日
僕は旅立ちを決意する

最後の日、僕と彼はいつもどおりに過ごす
明日はさよならだけど、今日は一緒にいるから

何気ない最後の一日をえがいた、短いおはなし


>以上紹介文より転載


 レビュー

僕と彼の最後の一日。
いつも通りの、ある一日。

内容としては、
それまで長らく一緒にいた彼との別れを明日に控え、僕が過ごす一日間。というもの。

全体的にふわふわしており、つかみ所がない作品です。
色々と気になってしまう人は想像力が鍛えられると思います。
そういう雰囲気だから……何でしょうこの感じ?
変な表現ですが、ケーキはケーキでもスポンジ生地に薄く生クリームをぬったケーキ――苺もチョコレートも無いけど、生地と生クリームが好きな人には実は嬉しい一品、そんな印象を受けました。
ていうか、伝わりますかねこんな表現で(汗

私はETOにて兎太・亥木兄弟のシチュー話が好きなのですが、あんな風に何気ない会話なんだけどどこか魅力的で、ふと実生活の中で思い出してホッとしたりする……そんな雰囲気ある御話が、短編ながら濃く描かれていた気がします。


いやはや、会話を読んでてずっと思っていましたが、
すがすがしい人達ですね、僕と彼は。
少し憧れます、ほんと。
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