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2017年12月13日
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「深淵病棟」

2009年09月11日
ジャンル:レトロサイコ
DL:vector
制作者:dydy
攻略:作者様HP




 紹介
目を覚ますと、僕は鉄格子の病室にいた。
昭和初期の精神病院で繰り広げられる、狂気と正気の錯綜。


>以上紹介文より転載


 レビュー

「鬼ヶ島」「犬神」など有名な作品で知られる「ワードワード」dydy様の作品です。
シンプルでスッキリした作りは以前同様ですが、今作には古い映画フィルムを思わせるような演出が加えられています。映像に黒い線や点々が混ざるあれです。
レトロな雰囲気をだすためか、精神病院という舞台の歪さをだすためか、はたまた人物のひび割れた自我を表しているのか。
はたしてそれが何を見せているのか、というのは最後まで読んでみると解るのかもしれません――
たいそう興味深い作品です。


適当な煽りをいれてみましたが、面白い物語です。
精神病棟の雰囲気は言わずもがな、主人公の特殊性、ストーリーの無残な流れ、時代の香り……どれもただ示されるだけに終わらずしっかりと内実まで描かれている所が素晴らしいです。変態や変態行為が好きという事はないけど、妄想と自慰的な思考が絡み合う主人公の挙動や葛藤には、思わず「うぐぐ……」と唸らされてしまうものがありました。
何となく共感できる部分があるだけに……辛い物語です。


普通のフリゲとはやはりどこか違うのが「ワードワード」の作品。
アニメや漫画が教えてくれる「面白い」とは何か違います。
正直私にも何が楽しくてプレイするのかはよく分かりません(「ワードワード」作品に限らずよくある事です)。そういう不明慮なものを確実にするためにレビューを始めましたが、実際どうでしょう……こじつけや見当外ればかりな気がします(例として「フランカ」など)。
結局は後学のためという意識があるので投げ出す事はありませんが、かなり辛い所です。

さて、
そこで、先達に学び、夢野久作先生の言葉を仰ぎたいと思います。

……こうした私の気持を百パーセントに満足させてくれるのはポオとルベルである。絞め殺した友人の心臓に耳を当てて鼓動音が消えてなくなってから床下に埋めておくと、毎晩寝がけにウトウトしかけた時にその耳の底にコビり付いている友人の心臓の鼓動音がハッキリと聞えて来るので、毎日毎夜睡ることが出来ない。とうとう発狂して床板をめくり初めた……という話なぞトテモたまらない。何かそこいらのものをタタキ付けたい気持になる。
 私はポオとルベルの恐怖、戦慄の美を心の底から讃嘆したい。日本では江戸川乱歩さん、城昌幸さんのに、その直系の流れを見る。水谷準、角田喜久雄、葛山二郎さんにも、そうした恐怖美、戦慄詩が歌われている。それが理屈なしに私を感激させ驚嘆させる。こうした感激と驚嘆のために私は生甲斐を感じているのではあるまいか。……

>以上「私の好きな読みもの」から転載

他人の言葉を借りておいて偉そうに言うのもなんですが、私も「犬神」の数々のシーンからうけた強烈なイメージ、トテモたまらないという感想です。
今作で言うと、隣室から死んだ筈の女性が語りかけてくるシーン――現実と妄想の境がグラグラ揺れ始め、かなり狂おしく、いっそのこと脳中枢を切断して自分の灯りをけしていまいたい、考えるのを止めてしまいたくなる……そんなイメージ。
それらを得られる事に喜びを感じるようです。激情=即快楽。

どうやら人間には平常や平穏だけでなく怒る事や叫ぶ事も必要らしいです。→→記事リンク
つまり、私が「ワードワード」作品を楽しむのは生存本能なんでしょうか?

夢野先生も仰ってます――
中世以前は到る処戦争ばかりで恐怖と戦慄の時代であった。だからその時代の芸術作品には平和と幸福の讃美に類するものが多かった。
これに反して現代は幸福と安定の時代である。だからその芸術作品に恐怖と戦慄が求められるのは当然である


そして続きます――
――といったような理屈を並べてみても、こうした私の恐怖美、戦慄詩の愛好癖は決して説明されない気がする。
誰か説明してくれませんか。

結局、先生も解らないのかい……

というオチです。
いやはや――
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