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2024年11月22日
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「死後の恋/悪魔祈祷書」

2009年09月21日
ジャンル:文藝復古
DL:vector
原作:夢野久作
制作者:香津宮裕介

禁書


 紹介
夢野久作の名作短編
『死後の恋』『悪魔祈祷書』をサウンドノベル化。

※本文中、今日から見れば不適切と思われる表現を含んでおりますが、原作者が生きていた当時の時代背景を考慮し、また本作のオリジナル性を重視した上で公開します。


>以上紹介文より転載


 レビュー

真説・万華鏡奇談」等の作品で知られる作者様の手によってサウンドノベル化された二つの夢野久作物語、「死後の恋」「悪魔祈祷書」です。
夢野久作の表現力豊かな文章に作者様のささやかな演出が添えられております。きっと、どなたが手にとっても楽しめる筈。肩がこるだけの文芸体験には終わらない作品です。


最近PSPに夢野久作や竹久夢二を入れて持ち歩いていたので、良い機会と思い原作とサウンドノベル版を比較しながら読んでみました。
結局率直な私の感想を申しますと、ゲーム版の方が断然面白かったです。
「悪魔祈祷書」は雨音と静かなBGMが混ざり合って初めから良い雰囲気が出ていましたし、「死後の恋」の山場の場景は……こういう言い方は何ですが、非常に美しさが増しておりました。
何より読みやすく、入り込みやすい所が良いですね。こういうサウンドノベル化作品やニコニコの朗読動画とかNHKの古典特集番組など、どんどん増えていって欲しいです。私は古い小説や映画を見ると大概眠くなってしまう性質なので……。


勿論、物語重視の方にオススメ。
読んだ後「夢野久作すげー」と叫べる作品です。
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「ゆめのはなし」

2009年09月09日
ジャンル:納涼ホラーノベル
DL:vector
制作者:




 紹介
祖父の意向から親類縁者の持ち回りで年に一度泊まることになっている、今は無人の旧家。
そこであった不可解なお話。

プレイ時間5~10分程度の気軽に読める短編ホラーです。


>以上紹介文より転載


 レビュー

短編ホラーとして異常に纏まってて、これといった落ち度がない作品です。
あえて難癖をつけるなら、「ほら」「まあ」「ああ」「ええ」などが多く含まれる語り文章が少し読みにくかった、という事ぐらい。これも慣れればいいだけなのでなんて事ないっす。
という事で、挙げられる難癖はつきました。降参です。


さてさて、
私はこういう現実味があるホラーが大好きです。
現実味といってもそれは"勘違いと紙一重"という現実味。「ああ、確かにそういう事ってあるよね」という共感が得られそうなホラー体験のことです。
例えば崖の上から海を覗き込んだとき背中をそっと押されたような気がした、とか。
そこで自殺した女性の霊が私を押したのかもしれませんし、単に崖下というものが人間を引き込む力があるだけかもしれません。
今作も同様。
不可解な話ではあるけど、どこか現実味がある。ありえない筈なのに、ふとした拍子に遭遇してしまうかもしれない恐怖――そんな不思議な魅力がたまりません。
それこそ大人からすれば「ゆめのはなし」。でも子供からすれば確かな体験で間違いありません。

つまり、体験もののホラーとして非常に上手い作品でした。


また、それ以上に上手いと感じたのが安心感を与えてくれる序盤の文章。
導入部分はどちらかというと在りがちな……よくある入り方なんですが、それがプレイヤーに「この作者は大丈夫だな」という安心感を与えていると思います。定石をたどるような落ち着いた分かり易い入り方です。
フリゲは何より、制作者とプレイヤーの信頼感が無い事が一つの大きな障壁となっていますから、作品の質同様、早めに不信感を取り払ってくれるのはプレイする方からしても気苦労がなくて嬉しい点です。


と、そういえば怖いかどうかを言い忘れていました。

泣く程、怖い、です。
ご注意を。

「Merry Xmas」

2009年08月31日
ジャンル:クリスマス記念ホラーノベル
DL:作者様HP
制作者:領主

赤


 紹介
クリスマス記念 超短編ホラーノベル
クリスマスの夜は奇妙なホームページが現れる。


>以上紹介文より転載


 レビュー

季節はギリギリ夏。
そんな今だからこそ、雪舞う日々を想い、クリスマスホラーの紹介っす。
山ノ池」の作者様による超短編ツクールホラー作品。
上の真っ赤な画像……何やら不吉な感じがしますね。
山ノ池とは少し趣が違った作品です。

一言でいえば、(来ちゃう系)。
よくある雰囲気ですが、ただただ画面が赤いというだけで何か不気味な印象を受けてしまいます。
クリスマスだから赤い。赤いからクリスマス。何もおかしくはありません。
それでも違和感を感じてしまうのは、なぜでしょう。


今が夏だからでしょうか。

「山ノ池」

2009年08月23日
ジャンル:超短編ホラーノベル
DL:作者様HP
制作者:領主

ツクールホラー


 紹介
登山キャンプ中に遭難してしまった若い男。
森を彷徨う内に、小さな池に辿り着いた男は、そこにいた女性に、声をかける‥‥。

プレイ時間はおよそ5分程度の、超短編ホラーノベルです。


>以上紹介文より転載


 レビュー
バトルオブイモウト」の作者様のツクールホラー作品です。
ホラーとしてどうかといえば火力不足かもしれません。

長すぎず、叫び声とか「後ろにいるよ」みたいなものに頼らない正統派で、尚且つ綺麗にオチが決まっている、という作りが素晴らしいと思います。
案外ホラーが苦手な人にオススメかもしれませんね。

「バレエの研究」

2009年08月06日
ジャンル:古典上代文学的大正ロマン漂う、準純文学系ミステリノベル
DL:vector
原作:ツカノアラシ
制作者:




 紹介
『猟奇事件カラ、化ケ物退治マデ オ引キ受ケ致シマス』

容姿端麗、性別不詳、性格破綻、少年の容貌に不釣り合いな老成した雰囲気を持つ「清廉潔白探偵事務所」所長の黒い小悪魔 聖 玲(ひじり れい)

性悪、万能、毒薬コレクター、優男で謎の多いボケボケ執事の巽(たくみ)

この二人を中心に繰り広げられる大正ロマン ミステリ風、短編物語。
「清廉潔白探偵事務所」シリーズ ノベル第一弾。



 レビュー

大正ロマン風怪奇ノベル。雰囲気重視の作品ですね。
容量は短編小説一話分ぐらい。幕間に挿入されるような部類の話でして、あまり内容を求めすぎると肩透かしをくらうかもしれません。
舞台設定と登場人物の持つ空気をぼんやり楽しむぐらいが丁度いいかと。


怪奇や魑魅魍魎から人々を救うという活劇もいいですが、こういう常に高みから見下ろしていて世の流れに対して無理に介入しない、という話も良いですね。
バレエの女の子達については少々不憫な気もしますけど。