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2024年04月19日
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「ぼくのしったせかいは」

2009年11月16日
ジャンル:老人と湖
DL:作者様HP
制作:アバラヤ

「なんだと」


 紹介
UMA(Unidentified Mysterious Animal:未確認動物)を探す
青年と老人の物語


>以上紹介文より転載


 レビュー

よくある「世界を壊す」系。
なんだけど、ちょっと違う物語。
壊すのは、少年でも少女でもなく――


内容としては、
山奥でUMA捜索に執念を燃やす酔狂な老人と何やら悲観的な青年の交流……まぁ交流といえるほどでもない、出会いを描いた作品です。

けして暖かくはなく、ハートフルでもありません。女の子成分ゼロ。始終、我の強い二人がガチガチぶつかってます。結構、私はこういう"老人とひねくれた少年/青年の交流もの"が好きなたちなので、テンポよく交わされる言葉の遣り取りが愉快でした。また、そうしてる間にもきっちり物語が進んでいるのがこの作品の上手いところです。

そして重要なのが彼らを包んでいる世界観。
「GOS」というものが話の中心になるんですが、それに対して二人の思いが面白い具合に絡んでいきます。
"UMA捜索"といわれても正直ピンとこないかもしれませんが、ラストまでいくと意外と感動できたりする作品です。
爺カッコいいぜ!


作中時間で数日、プレイ時間で15分ぐらいの短編もの。一部難しい話もでてきますが、気軽にプレイできる作品かと思います。



そして、蛇足。
プレイした後、結局GOSとは何だったのか?と考えていくと作品の見え方が色々と変化して面白くなってきます。
GOSだけに限らず青年や爺をとっても、色んな捉え方ができる作品だと思います。
あやふやで十分じゃない描き方というのは好みが分かれる要因ですが、「結局どういう話だったの?」と思うのであれば、自分で考えてしまえば良いと私は思います。
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「感情線」

2009年10月25日
ジャンル:廻る物語
DL:vector(リメイク前)
制作:イッツウ舎

リメイク前リメイク版


 紹介
「僕」はバスの中、大切な「彼女」の名前を思い出そうとしている。

大切だったあのころの日々も、思い出も、その中にはまる最後のピース――「彼女の名前」――がなければ意味がない。

これは、そんな「僕」と「彼女」を廻る物語。


>以上紹介文より転載


 レビュー

悲しいすれ違いの物語であって、
強い絆が結びあう物語。


内容としては、紹介の通り。
環状線を周回するバスに乗り込んだものの、今から会いに行く大切な「彼女」の名前を忘れてしまった主人公の「僕」。悩みながら彼女との思い出を振り返ったりするのですが、それでも彼女の名前は出てこない……。

これだけだと、ちょっと記憶力の弱い男性の小話にも思えてきますが、結構主人公の悩み方が深刻な感じでして、読んでるうちにだんだん「どういう事なんだろう?」「何があったんだろう?」と不思議に思えてきます。

そんなミステリアスな部分もありまして、ラストの展開を予想しながら楽しくプレイする事ができました。


結局ラストがどうだったかというと……まぁ、(夢オチ)です。
もうちょっと環状線とか彼女との言葉の遣り取りとかに大きな意味や扱いがあっても良かった気はします。でも、そうすると他のADVみたいにやたら長くなりそうですからね……短編好きとしては何ともいえません。



あと、今作にはリメイク版があります。
大きく変わったのは人物の絵で、他には演出や文章やシステムの細かい変更が加えられています。
普通こういう場合はリメイク版をオススメするのが当たり前なんですが、今作の場合私は好みで選んで貰っていいと思います。

例えば絵は、
上の画像でいう←左がリメイク前で、右→がリメイク後です。
ちょっとリメイク後はアニメ調になってます。

文章は、
リメイク後の方が判りやすいです。逆にリメイク前は奥ゆかしいです。

演出・システムは、
これは本当に微妙な違いですが、私はリメイク前の方が好みですね。
病室のドアを開ける)演出が無くなっているのは、意図があるんでしょうか……。

「Normalize Human Communication」

2009年10月03日
ジャンル:死ぬかもしれない女の子の遺影を撮るだけの、地味な物語。
play:作者様HP
DL:移植予定はある?
制作者:吉村麻之
補完:裏話のような何か




 紹介
2009年7月~8月に公開のVisual Flash Novelです。
死ぬかもしれない女の子の遺影を撮るだけの、地味な物語。

略称は、『のまひゅ』。舞台は、新横浜。

読了には2時間程度かかります。


>以上紹介文より転載


 レビュー

「のまひゅ」こと「Normalize Human Communication」。難病を患う女の子の遺影を撮る物語。


内容としては、
アマチュアカメラマンである主人公はとある縁から女の子に撮影を依頼されます。後々それが病気によって死ぬかもしれない彼女の、「遺影」となりうる写真だという事を彼は知り……
というもの。


「脱・泣きゲー」といった感じの作品でしょうか。
そういった物語が好きな方に向けられた作品である事は間違いありませんが、どこか"らしくない"、予想の他所をいく、そんな作りです。この言い方は若干大げさな気もしますが、嘘はないです。どちらかというとこの手の作品が、難病要素を持った物語が好きではない私としても興味深く楽しませて頂きました。


けして独自色の強さはありません。
欝ゲーやらあれやこれや跋扈蔓延る現在、どうしても幾らかの人は「ぬるい」と感じてしまいます。それは仕方がありません。この作品のどの要素・狙いを持ち出しても既に多くの人が手をつけたものです。

ただ、この作品が大衆向けだという事を考えると……これは良い一歩だと思います。
どなたにでもオススメできる(≠フリーゲーマー全員)作品として軸足をしっかり置きながら、一歩外へ踏み出した感じです。それはもう闇の住人や遊牧民が見れば笑ってしまうぐらい小さな一歩ですが、呼び込める人の多さや新たな風を吹かせる力強さを思うと、馬鹿にはできない素晴らしい一歩です。


さらに言うと、この作品は軽く二三歩踏み出してしまおうと思えばできていた筈だと思います。
例えば……写真雑誌の編集長のコメントとか、大事な所で表現たらしく自分の感情を挟んでくる主人公とか、長すぎる裏話とか、他多数。どうも物語とは別の次元から作者の手がニョロニョロ伸びてきてプレイヤーを思い通りに誘導しようとする、そんなような言葉の多さ、鬱陶しさが作品の各所にありました。この辺りをもう少し行儀良くして、物語になじむ形で忍ばせておいた方が作品として清かったのでは、と私などは思わずにはいられません。

でも、きっとこのような表現を望む人は沢山います。必要とする人も。
そういった方達を抱き寄せる判りやすさなんだと考えれば、これもまた素晴らしい点の一つなんだと納得がいきます。
作品として優れている事も大切だけど、多くの人の心に響く作品である事も大切です。
最近私もそれに気づかされました。



こういった意味でこの作品は、
大衆向け作品として一歩外へ踏み出し、一歩しか歩まなかった、
そんな素晴らしい作品だと感じました。

是非是非皆さんにオススメ。


「皆さんにオススメ」と言われて(ああ、俺の事じゃないな、パス)と思った貴方にもオススメ。このような作品も時にはいかがでしょうか? 肌に合わない所は読み飛ばせば良いと思いますよ。私もオッサンの寒いキャラクターには鳥肌がたったので、二週目は全部読み飛ばしました。それでも面白かったです。だから、是非。

「真夏の扉」

2009年08月10日
ジャンル:海辺の町を舞台にしたひと夏の物語
DL:作者様HP
製作者:番頭はん
注意:BL要素
攻略:作者様HP

上陸


 紹介
中学二年の夏休み。
自分が記憶の一部を失っていることを知った優人は、
その場所である母の郷里へと、一人向かった。
海沿いの町で出会う人々によって開かれるのは、
封じられた記憶?
それとも……優人自身の心?


>以上紹介文より転載


 レビュー

今回は短編でなく、長編を。八月にぴったりな夏ゲーです。


内容としましては、夏休みモノ。
ある少年の忘れられない大切なひと夏の思い出を描いたお話です。

主人公は、神原優人。よくできた中学二年生。
行儀のいい優等生少年なんですけど、少々他人と交わるのが苦手で内に篭りやすいタイプ。
訳あって母の郷里を訪れそこで数日過ごす事になった彼は、新たな人との出会いによって少しずつ変化を得ていきます。人と接する楽しさや嬉しさから自然と一歩一歩他人と距離を縮めていく優人の姿が見受けられます。しかし、どうしても大きな壁となって彼を引き止めてしまうのが「今の自分」「過去の自分」という二者。ある時降りかかったトラブルが大きな心の傷となり、病気ともとれそうな度合いをいく消極性、それが彼の根底には根付いてしまっています。

およそ五人の登場人物。
明るく裏のない従兄弟、飯田徹。
ちょっとかわっている涼風教師、池田達郎。
落ち着いた好青年で役者志望、真野直樹。
怪しいオヤジ、相良良介。
そして、不詳一人。
彼らがどれだけ主人公・神原優人少年の心傷を癒すことができるか――それが、今作のEDのノーマル・グッド・ベストを分ける基準となっております。

つまりつまり、そういう事。
殺人スルー能力をもつ鉄壁の美人さん、神原優人を攻略させる。
それがこのBLゲーの主旨となります。




と、変な煽り文章を作ってみましたけど、BLゲーではよくある形式ですね。
一般恋愛ゲーでもネタとして何作か……。


いや、本当に素晴らしい作品です。
作品の持つテーマ性、雰囲気、容量、完成度、面白さ、どれをとっても凄いと思います。

私の思い出の作品でもありますので、少々補正がかかっているかもしれませんが、是非オススメしたい作品であります。
あー、本当になつかしいです……。
幾らか昔、BLというジャンルを把握さえしていなかった時、何度も繰り返しプレイして徹との友情EDばかり行き当たってました。
とことん恋愛ゲーなんて馬鹿にしてましたが、いやはやこれが奥が深い。


↓以降恋愛ゲー初心者の明け透けな感想


ちょっとネタバレになりますが、ほどほどに年が近い徹は割と気楽に壁なんて飛び越えて優人と接してくれます。プラス、優人が好きである事を隠そうともしない彼はいとも簡単に仲良くなれます。従兄弟と楽しく夏休みの思い出を作って帰る。これはこれで良いEDです。
でも、それ以上のEDに全然行けませんでした……。

判ってみれば簡単な事で、お互い○○でも○○でもない普通の男の子なんですから、普通に接して普通に良い友人になれればそれで満足できます。なにもそれ以上無理に踏み込んで、歪んだお姉さんお兄さんの好みそうな恋愛形態に移行する必要はありません。
つまり、良い選択肢ばかり選んで友人になってはいけない。
それが過去の私には判らなかった訳です。(というか、恋愛ゲーだと思ってなかったから当たり前です。プレイした人なら了解いくと思いますが、この作品、4人の恋愛ルートと真相ルートが切り離されています。4人に目線が行ってると、絶対に記憶の真相には辿りつけない……)

という事で用意するのは、優人少年のネガティブ思考と小動物性。
後一歩という所で拒絶し、突き放し、弱い姿を見せる。これをする事で相手の心情を揺さぶり、欲求を刺激して、襲わせる。よくよく考えてみれば、一般恋愛ゲーの18番ですね。違うのは、そこに策略性があるかどうか……。

まったく恐ろしい子供です、優人少年は。




登場人物一人一人について――


まず相良さん。
オッサンについてはただ一言で表せます。
『ギャップ』。
攻略を見るまではその存在さえハッキリと認識してはいませんでした。会ってみればオッサンですし、性格もオッサンですし、何かとオッサンな彼。職業もちょっと嫌な感じであまり印象は良くなかったんですが、終わってみると不思議なぐらい良いキャラクターしてるように思えます。ガラッと印象が変わり、そのギャップからかなり好きになりました。
いやー、なんというか……SSダメでしょw
少しはその煩悩しまってください、優人少年の未来の為に。


次。真野直樹青年。
青年はよくあるキャラクター。恐らく意識的に一番通常の人に近いでしょうか。
初対面でいきなり真正面なアドバイスを与えられる所、場数を踏んでいることがうかがえます。本来なら最初から最後まで美人さんを引っ張っていけるタイプっぽい人ですが、途中で弱みを見せてしまいます。あれが実際の彼を映す一面でもありそうですね。それでもこういう人は近くにいてもらうと色々助かりますから、非常に好感が。
さりげなく優人少年の恐ろしさが見えるルートでもあります。


そして、教師池田達郎。
骨太そうだけど、少しヘタレな一面も見せる先生はとにかく見ていて面白いです。あまり教師としての一面が見えなくて用務員さんみたいな扱われ方なので、そのあたりを見せてもらえたら更に面白そうでした。なんとなく想像はつきますけどw
一面といえば部屋に本が沢山置かれていました。本を読むキャラってついつい博識な雰囲気を露出してしまい角が立つ事があります。でも、全くそんな空気を感じさせなかった先生は意外と奥が深い人なのかもしれませんね。
一番笑ったのが、少年の帰還を知って突然星の本を渡す場面――貴方は私かw
幼稚園児だった時、園長先生からこっそり本を頂いて嬉しかった記憶があるので、それからずっとプレゼントといえば本と私は決めてます。けど、案外これが難易度が高いポリシーでして、後々不評だった事を知ったりお互いの笑い話になったり。ダメな時は本がプレゼントの規格に入れて貰えなかったり……。優人少年は素直に喜んでいましたから、池田先生は良い眼をもっていらっしゃる。非常に肖りたいです。


さて、飯田徹少年。
好感度の高さは言わずもがな。上記の通り、随分と手間取らせてくれました。本当に良い奴です。
風花の舞の劉介など、わりとどんな作品にでもいる定番キャラですね。そういうキャラクターほど、なかなか報われない事が多いです。さてさて、彼はどうだったかというと、たしかにそういうEDもありましたが、一人だけSSの世界にまで突き抜けている所を見ると心配無用ですね。
最も優人少年に振り回された感がある彼……。
まぁ、なんです――若いっすよ。そこがまた良い。


最後に、あのかた。
真相エンドはある意味この作品全体でのベストエンド。できれば一番最後に見て欲しいEDです。26個ものEDをYuuki! Novelで見るのはとんでもない作業感が伴うのでオススメしませんが、十分作品を味わってから見ると感動もヒトシオだと思います。
優人少年の秘密が明かされる不思議なED。
なんといっても、あの言葉。私のフリーゲーム経験の中で一番心に残る言葉かもしれません。
仕掛けとしての、ハッと観客を驚かせる働きの意味が強いEDであり、だけどもそれだけに終わらない味わい深いEDです。

「The marks」

2009年07月27日
ジャンル:ランタイムパーティー!!投稿作品
DL:ランタイムパーティー(作品一覧→エントリーNo.69)
制作者:

タイトル画面


 紹介
RTPだけでゲームを作ろう。
というフレコミで作品が集う、ランタイムパーティー!!。
そこに投稿された一作品。

RTP。ゲーム制作ツールに付属した基本データ。
限られた素材で作られた作品。
アニメーション・ノベル(コメント借用)。



 レビュー

まず一言。
プレイ後、目がチカチカするゲームです。
遊ぶ際は画面を小さくする事をオススメします。
(キーボード上部のF4キーを押した後、F5キー)

さらに一言。
もし未プレイの方がいるなら、レビューを読む前にプレイする事をオススメします。
初対面が大事なんです。



さて、
非常に挑戦的な作品です。
簡単に言えばツクールで作られたサウンドノベルなんですが、その中身はツクールマップチップで作られたアニメーション付きという心躍る内容。マップチップを貼り合わせてモザイク画のようにし、それをパラパラ漫画のように流した動画が付いています。勿論画質は荒い。初プレイ時、序盤の(電車)のシーンを見て、すんなりそれとは認識できませんでした。そこから、ハッと気付く瞬間――「なんだこれは?」→「うわっ、マジかこれ……」の瞬間がかなり気持ち良かったです。


そして演出に彩られたストーリーの方も興味深いです。
「人の顔なんて、僕にとったら誰も一緒です」という大人の中二病。
こういうのが好きな人は多いでしょうね――私も大好きです。