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2024年11月25日
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「八月村三丁目一番地」

2009年06月22日
ジャンル:コマンド入力ADV
DL:vector
制作者:ue
攻略:一番下にヒントを書きました

試行錯誤する楽しみ

 紹介
あの夏おいてきた、あの子へ会いに。
夏の終わりに、奇妙で懐かしい、気がしないでもない、不思議な体験。
シーン探索系のコマンド入力型ADV。


>以上紹介文より転載


 レビュー
個人的に「コマンド入力ADV」というと、"恐ろしいゲーム"というイメージがあります。

私の子供時代、なんとなくゲームをやっている時代です、周りにあるのはなんとなくやっていればクリアできてしまうゲームばかりでした。声を掛ければ笑顔で当たり前のように遊んでくれるお兄さんお姉さんみたいな存在です。
そんな世界に突如現れた無表情のお爺さんが「コマンド入力ADV」でした。
子供の観察力、言語能力と応用力では全く刃が立たず、何をすれば良いのか、何を楽しめばいいのか、サッパリ得る物無しに放棄した記憶があります。そして時が経ち、ふとネットで攻略情報を調べて絶句したのも良い思い出。「時間を返せ」というのが正直な感想です。


無駄話はさておき、
トラウマを抱えた私が今作を遊ぼうと思えたきっかけに、この素晴らしい文章があります。
もしかしたら、この方のゲームなら、楽しめるかもしれない!
と思い、結果、大正解でした。
良い感じにヒントが埋め込まれており、全くの初心者でも簡単な探索から少しずつ深く掘り込んでいけるよう配慮されています。まるで教科書のように丁寧に楽しさを教えていただきました。


コマンド入力ADVには、
「ドア 開ける」「コップ 拾う」など「何を+どうする」を考える入力面や、
目の前の映像から何が可能か見つけ出す観察面、
コチラの入力にゲームが返す反応、そこから如何にヒントを探るかの対話面、
などなど、色々な思考能力が必要とされます。一種のスポーツみたいなものではないでしょうか。
確かにゲームなのでクリアを目指すのですが、それよりなにより、夫々の思考がカチリと噛み合いゲームから新たな反応が返ってきた時の感動がたまらないですね。

今作はその道を行かれる玄人には優しすぎるかもしれませんが、このジャンルをやった事が無い人や私のように敬遠している人が味を覚えるには最適なゲームかと思います。

攻略サイトは調べておりません。苦しみましょう、いえ、楽しみましょう。



とはいえ、少しヒントを。

真昼間ですけど、困った時は星に聞いてください。
あとEDはひとつじゃないです。
うろを調べてください。
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「ラブリーポリス・トリクーガ~遠い約束~」

2009年06月20日
結構前の話ですがアンディー・メンテにて「」が公開されました。
システムといい、サウンドといい、雰囲気といい、かなり遊べるゲームなのですが、何より個人的に感動したのがキャラ図鑑。
私は「AMといえば?」と聞かれれば、
「仲間キャラに添えられた一言、BGMアイテム、断片的なストーリー(のアイテム)」
と答えるタイプなので、コレは本当に本当に感動しました。ウトナからだいぶ時が経ち、もう新たなAM世界関連の作品は見れないかもしれないと勝手に失望していただけに、より嬉しいです。



さて、今回レビューするのは
「ラブリーポリス・トリクーガ~遠い約束~」別称ミサ2です。
DL:vector
製作:AM
攻略:プリティプリンセス
AM解説:AMのおうち(AM年表・キャラ図鑑)/世界観wiki

「ぢ」キャラ一覧にトリクーガいないの?
 トリクーガです
  (主人公)

 紹介
AMゲームを楽しみたいのであれば
自給自足
怪盗プリンス
あおいほし
スターダンス
スミレの花
AIRAM EVA
銀河迷宮宝物
(↑一応取っ付き易い物orフリゲ雑誌に掲載されてそうなの一覧)
どれから初めても楽しめると思うのですが、
少しでもAMの世界観に興味が湧いた時、手にとって頂きたいのがコレです。

他にもAM世界観入門として、
ミサ」「ストーリー・オブ・スペシャリスト」「スターダンス」などが挙げられますが、
ミサはゲームとして取っ付き難く、
他二つはそれ自体のストーリーに付いて行けないとプレイが辛くなりがちです。

逆にミサ2(今作別称)は
・難易度もシステムも判りやすいレベル
・作中、AM世界の重要人物がべらべら重要な事を話していく
・主人公の目的の半分が「世界への探求心」
・↑つまりプレイヤーが少しずつ世界について知っていく事自体がストーリー

などなど、今作はAMには珍しく何かと親切なゲームなのです。


 レビュー
THEアンディー・メンテゲーです。
紹介に力を入れすぎて、今更それ以上を語れません。ごめんなさい。


+追記
やっぱり書きます。

上に難易度が低いと書きましたが、それでもやっぱりAMゲー。アイテムの機能が判らなかったり、ステータスの意味が理解できない何ていうのは当たり前。
ただ幾つかある理不尽に難しいAMゲーと比べれば単純なものです。
それはつまり、「コツコツと時間を掛けていけば必ずクリアできる」程度の単純さですが…。

「休談_1話_トーマの心臓」

2009年06月19日
関連:「Zweite Liebe
資料:「トーマの心臓


「Zweite Liebe」のレビューを書いてから少し経ちましたね。
現在「Das Shichsal」を繰り返しプレイしているのですが、納得いくまで頑張ろうと考えているので、全く終わりが見えてきません。「ロストロマンサー」の再来です。判り難さはそれ程でもないのですが、BGMが上品なので眠気を誘われ……。

それはさておきZweite Liebeのレビューの際、拝見させて頂いたサイト様に「トーマの心臓と雰囲気が似ている」という事が書かれておられました。
「トーマの心臓」といえば以前同じ作者の「11人いる!」を読んだ事があり、これが大層面白かったので何時かそちらの作品もと常々考えていたところです。
という訳で迷わず購入。


『トーマの心臓』 萩尾望都・著
冬の終わりのその朝、1人の少年が死んだ。トーマ・ヴェルナー。そして、ユーリに残された1通の手紙。「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」。信仰の暗い淵でもがくユーリ、父とユーリへの想いを秘めるオスカー、トーマに生き写しの転入生エーリク……。透明な季節を過ごすギムナジウムの少年たちに投げかけられた愛と試練と恩籠。今もなお光彩を放ち続ける萩尾望都初期の大傑作。

>以上アマゾンより転載


今なお光彩を放ち続けるという表現は本当ですね。恐らく永遠に評価は変わらないでしょう。
名作と呼ばれても時が経ってみれば「悪く言う訳じゃないけど、実際あそこはちょっとね……」と欠点の一つや二つ口に出したくなるものですが、トーマの心臓は完全に作品として完成しています。
いや、これは面白い。
最初から最後まで一気に読み進んだのですが、その後頭の中で整理される情報量が半端じゃないです。次々と目に飛び込む2ページがどれも細かいコマと美しい表情と痛々しい言葉で埋め尽くされていて、眼をそらすことができない、手を離して本を放りだすことができない。濃厚な一冊でした。

+追記
熱狂的に引き込まれZweite Liebeとの関連を探る事を忘れてしまっていたのが少々惜しかったです。こういうのは探ろうとすると限度がないので一応にこれでも良いとは思うけど、やはりDas Shichsalのレビューの糧にできれば此方としては幸い……

「空想作家」

2009年06月19日
ジャンル:心理探索サウンドノベル
DL:vector
制作者:ZERO様

私は迷わず少年


 紹介
吉里吉里で製作した怪奇風味のサウンドノベル作品。

なぜか、赤い部屋の赤い椅子に座らされていた。
どこからともなく聞こえてくる声。
声は質問を投げかけ、質問には何の意味があるのか?

語られる不可思議な話。
失われた記憶とは関係があるのか?

とにかくよく意味のわからない、不可思議な物語。
というかゲームの定義がわからない。
一応サウンドノベルだと思います。


>以上紹介文より転載


 レビュー
始まって見ると古いミステリーの世界に入り込んだような感覚です。

意味も知れずに突然隔離されてしまったプレイヤーの分身に、"彼ら"はこれまた意味のしれない質問を淡々と投げかけていきます。鮮やかに映し出される画像と聞き心地の良いBGMの間、作業的にそれは進み、いずれ終わります。すると今度は休息のためにと不思議な小話を聞かされる。さて、また質問が始まり……
いつか全ては終わり、彼らとプレイヤーの間に決着がつけられます。そこで貴方の眼に映る光景は――

と、いった作品です。
作業的な空気が嫌いな方にはオススメできません。
あと様々なEDに分岐するのですが、そのコンプリートを目指すというゲームでも恐らくありません。
少々と言わず、かなり異質な作品です。
ある意味ADVとして遊ぶのではなく、何か占いツールの一種として考えた方が楽しめるかもしれませんね。
しかし、作者の挑戦的な試みが実に素晴らしく形をなした作品だと私は思います。

そして、この作品は「空想シリーズ」として次の作品に繋がります。
空想怪奇」というのですが、実に鮮やかに変化・進化しています。

「リバース」

2009年06月18日
ジャンル:もといた場所へかえる短編RPG
DL:作者様HP
製作者:vol.

さて、かえろうか

 紹介
薄暗く静かな場所を、かえるためにすすんでいく話。

シンプルな戦闘が特徴の、淡々とした雰囲気のRPGです。
短編なのでお気軽にどうぞ。


>以上説明文より転載


 レビュー
薄暗い石畳の部屋、女の子は眼をさましました。
ベッドの隅にはテディベアがもたれる様に座っていました。愛らしくて、そして――
どこからか声が聞こえます。
「かえらないと。
 もといたばしょへ。」
だから。女の子は"かえる"ことにしました。

テディベアに導かれるように世界を奥へ奥へ進んでいくRPGです。
途中色んなモンスターや見知らぬおばっ……お姉さんや魔女っ子達が邪魔してきますけど、気にせず進んでいきましょう。
テディベアがポツンと待っている事があります。必ず話しかけて独り言を聞いてあげましょう。
EDを迎えたとき、貴方は感動しているかもしれません。でも、もう一つEDがあります。見るかどうかは貴方次第です。

と、いった感じで変な文章を書いた事が、本当に申し訳ないぐらい良い作品です。

初めは独特な戦闘システムに四苦八苦するかもしれません。
ステータスを見ると数値は四つ、DPpainぶきかべ。この二つ目、painが非常に重要となってきます。

painはMPと能力補正を兼ねた数値で、敵の攻撃をくらうと増えるんですが、敵も同じくpainを備えています。
よって、主人公も敵も攻撃を受ける度に強くなっていきます。そしてMPも兼ねる為、調子良く攻撃を続けていると突然敵の大技で即死!という事が多々起きます。窮鼠猫を噛むといった感じですね。
また、DP回復などに気をとられるとpainが下がり、結果的に女の子が弱々になってしまうのにも注意が必要です。

とまぁ長々と書きましたが、一応難易度は優しいレベルなので誰でも短時間でクリアが可能です。
かいこん→ぼうぎょ多用)がコツっす。


そしてやはり特筆するべきはストーリー。
どうも語り過ぎない物語、というものに私は惹かれてしまうようで、「唄ウ人形」や「Heaven…誰モ君ヲ知ラナイ…」もそうでしたね。
「誰モ…」の作者・たご様の言葉に「モニター画面に表れたものが完成品ではなく、プレイヤーの胸のなかで初めて完成する」というものがあります。
その意思が作品を通してプレイヤーに与える、何とも言えない余韻や考える楽しさ、なんていうのは有触れた価値基準では計りきれない輝きそのものではないでしょうか。


+追記
心電図のピー音)は反則ですよ。その昔(AMの「AIRAM EVA」)で涙した記憶が……。